性的指向は誰に惹かれるか、性自認は自分の性をどう認識するかを表す言葉です。恋愛的な惹かれ、性欲、身体の反応や同意も同じ意味ではありません。別々の問いとして見ると、自分や相手を一つの特徴で決めつけずに整理できます。
性の言葉は「何についての問いか」で分ける
同じ「性の話」でも、知りたいことが違えば使う言葉も変わります。まずは次の七つを分けてみましょう。
- 性的指向――誰に惹かれるか
- どのような性別の人に性的に惹かれるか、または惹かれないかに関わる言葉です。公的な説明では恋愛的な感情も含めて用いる場合があります。
- 恋愛的な惹かれ――誰に恋愛感情を持つか
- ある人に恋愛的に惹かれること。性的な惹かれと分けると、自分の経験を説明しやすい人もいます。
- 性自認――自分の性をどう認識するか
- 自分の性についての認識です。誰に惹かれるかとは別の問いで、男性・女性のどちらかだけで説明しきれないあり方もあります。
- 性表現――どのように表すか
- 服装や髪型、振る舞いなどの表現です。外から見える表現だけで、本人の性自認や性的指向は分かりません。
- 性欲――性的な活動への関心や動機
- 誰に惹かれるかという方向とは区別します。性欲の強さだけで指向や性自認を決めることはできません。
- 身体の反応――体に何が起きるか
- 勃起や潤滑などの反応です。本人の希望と一致するとは限らず、反応があったことは同意の証拠になりません。
- 同意――今、それを自由な意思で望んでいるか
- ある行為への意思を、その都度確かめることに関わります。交際していることや、過去に同意したことから、今の意思を推測しません。
これは理解を助けるための整理です。惹かれを細かく分けない人もいます。資料ごとに定義の範囲が違うため、言葉だけでなく、その資料が何を説明しているかも確かめてください。
見た目・交際相手・性欲から分からないこと
例えば、中性的な服を着ている人を見て、その人が誰に惹かれるか、自分の性をどう捉えているかは判断できません。服装について分かることと、本人にしか分からないことを分けます。
恋愛感情があっても、性的な活動を望むとは限りません。反対に、性的な関心があることから、誰かとの恋愛関係を望んでいるとも言えません。今の交際相手の性別だけで、その人の指向を言い換えることも避けましょう。
これらは違いを説明するための例です。相手との関係では分類を当てはめるより、「今は何を望んでいるか」「何はしたくないか」を本人の言葉で確かめることが役立ちます。
言葉は自分を説明するために使い、判定には使わない
名前が分かると、自分の感覚を説明したり、似た疑問を持つ人の情報を探したりしやすくなることがあります。一方で、細かな名前を使わずに過ごす選択もできます。
「惹かれはあるけれど、今は名前を決めていない」「その言葉が今の自分には近い」という説明でも構いません。交際経験や質問への回答数で、自分や他人の名前を認定する必要はありません。使う言葉と、それを誰に伝えるかは別に考えられます。
次に知りたいことを一つ選ぶ
ここまでで、指向は惹かれ、自認は自分の性の認識、性欲は関心、身体反応は体の変化、同意は今の意思という違いを整理しました。次は、迷いの中心を一つ選べます。
体の反応と気持ちのずれが気になるなら反応の解説へ。惹かれの少なさを表す言葉を知りたいならアセクシュアルとアロマンティックの解説へ。名前を決めることに迷うならクエスチョニングの考え方へ。性自認や身体の悩みを話したいなら相談の準備へ進めます。すべて読む必要はありません。