パートナーに褒められても、うれしそうに返事をしたり、期待どおりに振る舞ったりする必要はありません。「身体の話は人前でしないでほしい」「今日は普段の服でくつろぎたい」と、控えてほしいことを具体的に伝えられます。言葉をかける側も、相手が受け取りたい言葉を確かめながら、実際にあった行動への感謝を選べます。
ここでは、褒められる側と声をかける側の両方から、外見の話題や振る舞いへの期待を整理します。以下の会話とメモは編集部による例です。自分の言いやすい言葉に変えて使ってください。
何を言われると負担か、話題と場面を分ける
「褒めてくれるのだから喜ばなければ」と思うと、自分が嫌だった部分を見失うことがあります。相手に褒めるつもりがあったことと、自分が落ち着かなかったことは、両方あってかまいません。喜べない理由を一つに説明する必要もありません。
言葉の内容・人前かどうか・返事の要求を分ける
同じ言葉でも、二人きりなら受け取りたい、人前では避けたいという違いがあります。外見の話題そのものが苦手なのか、「うれしいでしょ?」と返事を求められることが負担なのかを分けると、頼みたい行動を選べます。
- 言われた言葉
- 「その服、身体の形がよく分かっていいね」
- 困る場面
- 友人がいるところで身体の話をされ、何と返せばよいか迷った。
- 頼みたい行動
- 「身体の話を人前でされると落ち着かない。人前では控えてほしい」
言葉を正確に覚えていなくても、「外見について何度も言われるのが負担」と伝えられます。受け取る側が望むなら「服の色の話はうれしいけれど、身体の形には触れないでほしい」と範囲を分ける方法もあります。
聞く側は「褒めただけなのに」と返事を求め続けず、「人前では身体の話を控えるね」と、これから変える行動を返せます。笑って受け流されたことを、その話題を続けてよい返事と決めつけないでください。
外見の評価より、具体的な行動への感謝を選ぶ
相手が言葉を受け取りたいときは、実際にしてくれたことへ感謝を伝える選択があります。たとえば「今日は帰りの時間を先に確認してくれて助かった」「休みたいと言ったとき、予定を変えてくれてありがとう」。何に感謝しているのかが伝わる言葉です。
これは、外見を褒めることを一律にやめるという意味ではありません。好きな装いを褒めてほしい人も、今日は評価される言葉を聞きたくない人もいます。「どんな言い方ならうれしい?」と尋ねても、すぐに答えを決めてもらう必要はありません。
外見以外の言葉なら必ず喜ばれるわけでもありません。感謝への返事や、次も同じことをしてもらう約束を求めず、伝えたところで会話を終えてもよいのです。
期待に合わせた服や振る舞いを休んでよい
「前みたいな服で来て」「もっと色っぽくして」と言われ、合わせなければがっかりされると感じることもあります。自分が楽しみたい装いと、相手に求められると負担になる振る舞いは分けて考えられます。
- 自分で選びたいこと:気に入った服で出かけること。
- 今日は合わせたくない期待:疲れていても着飾ること、喜んでいるように見せること。
「着飾るのは好き。でも今日は普段の服でくつろぎたい」「その言葉を聞くと、期待に応えなければと思ってしまう。今日は普通に話していたい」という伝え方があります。好きな楽しみをずっとやめる宣言にせず、今日の希望だけを伝えてもかまいません。
相手の以前の服装や振る舞いは、次も同じことを求める根拠にはなりません。装いを選んだことと、触れ合いや性的な行動を望むことも別です。性的な同意とは、何をするかをその都度、自由に選んだ意思のことです。
今ひとつ伝えるなら、「控えてほしい話題」「言われたくない場面」「今日はしたくない振る舞い」のうち、最も気になるものから選んでみてください。見られること自体が気になる場合は服や照明など、見られる不安への小さな希望を整理できます。外見の話以外にも希望を伝えたいときは性的な好みや気になることの会話例へ。
参考にした情報
希望を伝えること、相手の話を確かめること、自分の時間を持つことについて、NHS「Maintaining healthy relationships and mental wellbeing」を参照しています。性的な意思の尊重については内閣府男女共同参画局「性犯罪・性暴力とは」を参照しました。会話例の効果を検証した資料ではありません。