パートナーの手や肩のケアを始める前には、受けたいか、どこに触れるか、製品を使うか、止めたいときにどう伝えるかを確認します。頼まれた側も、できないときは断れます。痛みを治すために揉もうとせず、身体の状態から適しているか迷う場合は医療者へ相談してください。
「手のケアをしようか」「肩を揉んでほしい」と言われたとき、気持ちが一致するとは限りません。ここでは成人のふたりが始める前に選べることを整理します。以下の会話と準備項目は編集部が作成した例です。
頼む人・提案する人の両方が選べる準備
手を伸ばす前に、「手に触れるケアを受けたい?」と、何を提案しているのかを具体的に伝えます。受けたいという返事でも、肩やほかの場所まで触れてよいとは推測しません。「手だけにしたい」「製品は使いたくない」のように、範囲を別々に確かめられます。
頼まれた側も、断ってよい
頼む人:「肩を揉んでほしい」
頼まれた人:「今日は手が疲れているので、できない」
頼む人:「分かった」
提案する人:「手のケアをしようか?」
相手:「今日は触れないでほしい」
提案する人:「分かった。今日はしないね」
する側・受ける側のどちらにも選択があります。断ったからといって、代わりの世話を引き受ける必要はありません。何をするかについて、その都度自由に選んだ意思を同意といいます。以前受け入れたことが、今日も受け入れる約束になるわけではありません。
始めることを選んだ場合は、「休みたい」「ここで終わりにしたい」など、使いやすい言葉を共有できます。ただし、決めた言葉を言わなければ続けてよい、という意味ではありません。相手の返事や反応が分からないときも止まります。途中で意思を変えられるという原則は、RAINNの同意の解説で確認できます。
痛みのあるところを治す役は引き受けない
「ここが痛いから治して」と頼まれても、その場所を強く揉んだり、関節をひねったりする必要はありません。触れることを望んでいるかの確認と、痛みの原因や治療の判断は別です。症状がある場合は、下の医療相談の考え方を確認してください。
手・爪・姿勢・製品表示を確認し、用品なしも選ぶ
専用のオイルや道具を先にそろえなくても、使うかどうかから話せます。準備を考えるなら、次の項目を確認してみてください。
- 手と爪:手を清潔にし、引っ掛かる爪や装飾がないかを見る。
- 座る場所:二人とも無理なく座れるかを確かめる。姿勢がつらければ場所を変えるか、やめる。
- 使うもの:相手が使いたくない製品はないか。用品を使わない案も残す。
- 表示:何のために、どの部位に使う製品か、注意事項に不明点はないか。
- 終える言葉:「休みたい」「やめたい」が出たら、実際に止まることを共有する。
用品を使う前に、その製品の表示を読む
手持ちの化粧品やオイルが、今回の用途に使えるとは限りません。製品の用途・使える部位・注意表示を確認し、不明なら使わず、メーカーに確かめます。自分が普段使っているからという理由で、相手にも使えると判断しないでください。
ふたりとも用品を使いたい場合は、二人で使うセルフケア用品の素材・衛生・保管の確認を参考にできます。用品があることを、ケアを受ける理由や義務にはしません。
痛みを治そうとせず、身体の状態が気になるときは相談する
米国NIHのNCCIH「Massage Therapy: What You Need To Know」は、マッサージ療法にはまれに重いけがなどの報告があること、医療上の問題の受診を遅らせないことを案内しています。療法に関する資料であり、家庭での手や肩の触れ合いが誰にでも安全だと保証するものではありません。
痛みがあれば止め、治療中の人や、身体の状態からマッサージが適するか不安がある人は、担当の医療者に確認してください。痛む場所を揉んで、受診の代わりにすることは避けます。性の悩みを含め相談先や予約の準備を知りたい場合は、相談窓口と受診前の費用確認を読めます。
その場で迷ったら、症状がある場合は医療相談、製品の用途が分からない場合は使わない、どちらかが望まない場合はしない、と分けて考えられます。ケアをするかどうかが決まるだけでも、その日の準備は十分です。