性的指向が分からないとき、今すぐ名前を決めたり、経験をして確かめたりする必要はありません。クエスチョニングは自分の指向や性自認を模索することを表す言葉です。誰に惹かれるか、望む関係、誰に話すかを別々に考えられます。
分からない状態を、そのまま言葉にしてよい
クエスチョニングは、自分の性的指向や性自認を模索していることを表す言葉で、若い人だけに使うものではありません。この記事では「誰に惹かれるのか」「自分に合う指向の名前はあるのか」という迷いを中心に扱います。
「同性に惹かれたけれど、指向の名前はまだ分からない」「今は名前を選ぶより、その人への気持ちを考えたい」と言って構いません。一定の年齢までに結論を出す期限も、恋愛や性的な経験を重ねて証明するノルマもありません。クエスチョニングという名前自体を使わない選択もできます。
惹かれ・望む関係・話す範囲を別々に置く
ある人に惹かれたことと、その人と交際したいか、性的な活動を望むか、周囲に話したいかは、それぞれ別の判断です。一つ気づいたからといって、残りをまとめて決める必要はありません。
必要なら、次の三つを別の欄に置けます。これは編集上の整理メモで、指向を判定するテストではありません。書き残さず考えるだけでも構いません。
- 気づいたこと:その人ともっと一緒に過ごしたいと感じた。恋愛かどうかはまだ分からない。
- 今望む関係:まず話す時間を増やしたい。交際や性的なことは今は決めていない。
- 今は話さないこと:指向の名前や詳しい気持ちは、周囲にはまだ伝えない。
例えば、同性の相手との親密さを初めて考える場面でも、この三つは分けられます。相手の指向や希望は、外見や親しげな反応からは分かりません。自分の名前が未定でも「今はここまで話したい」「これは望んでいない」と境界を伝えられます。
情報は、名づけるためでなく疑問を減らすために選ぶ
調べるときは、自治体などの用語説明、当事者団体の一次解説、一人の体験談を区別します。体験談が自分に近く感じられても、その人の経過が自分にも必要な手順になるわけではありません。
読む前に「これは定義の説明か、一人の経験か」「何かを経験しないと分からないと迫っていないか」と問い直せます。服装や経験数から名前を決める診断クイズや、指向の矯正を目標にする情報は、自分を判定する根拠にしないでください。
用語の意味が分かったら、今日はそこで終えても構いません。名前を確定させるために情報を読み続けるより、知りたい疑問に答えがあったかで区切れます。
相談先には、名前を決めていないまま問い合わせられる
相談したいときも、ラベルを先に確定する必要はありません。ただし、窓口ごとに対応内容が異なるため、指向や性自認を模索する相談を受けているか、受付で確認します。
問い合わせの例は「性的指向が分からず、気持ちを整理したいです。名前を決めていなくても相談できますか」。対象地域・年齢、相談方法、費用、匿名で利用できるか、秘密の扱いを確認してください。「本人の許可なく家族などに伝える場合はありますか」と、情報共有の例外も尋ねられます。
こども家庭庁の性や健康の相談窓口検索は、地域や相談内容から探し始める入口です。心のつらさを相談したいときは、厚生労働省の相談先一覧も参照できます。掲載されている全窓口が同じ内容に対応するわけではありません。