外陰部は体の外側にある性器の総称、腟は体内に続く通路で、同じ部分ではありません。尿が出る尿道口と、腟につながる腟口も別の開口部です。クリトリス(陰核)は外から見える部分のほかに、体内へ続く構造があります。
成人に向けて、部位名と位置・構造の基本を文章で整理します。気になる場所を医療者へ伝える手がかりとして使えますが、名称を全部覚えたり、自分の体を見て確認したりしなくても構いません。
外陰部は外側の範囲、腟は体内の通路
日常会話では外側も含めて「腟」と呼ばれることがありますが、外陰部と腟では指す範囲が異なります。外陰部には、陰唇、クリトリスの外から見える部分、尿道口、腟口などが含まれます。腟は、腟口から体内へ続く通路です。
| 部位名 | 位置・指す範囲 |
|---|---|
| 外陰部 | 体の外側にある性器の範囲をまとめた呼び方。 |
| 大陰唇・小陰唇 | 外陰部にあるひだ。大陰唇が外側、小陰唇がその内側に位置する。 |
| 尿道口 | 尿道が外に開く、尿の出る開口部。 |
| 腟口 | 腟につながる入口。 |
| 腟 | 腟口から体内へ続く通路。 |
例えば「腟が気になる」だけでは、外側の皮膚なのか、入口の周辺なのか、体内なのかが伝わりにくいことがあります。正しい名前が分からないときも、「外側」「入口の近く」など、分かる範囲から説明できます。
部位の区別はSexual Health St Helens(NHS)の外陰部の解説を参考にしています。
尿道口と腟口は、違う開口部
一般的な位置関係では、尿道口は腟口より前方にあります。尿は尿道口から出て、腟口は腟へつながります。近い場所にあっても、同じ入口を指しているわけではありません。
体の見た目や、手術などによる状態は一様ではありません。この説明と自分の体を無理に照合したり、入口を探して確認したりする必要はありません。診察で説明しづらい場合は、「尿が出る所の近く」「入口の周辺」「外側の皮膚」など、自分が分かる言葉で伝えられます。これらは編集部が作成した相談表現の例です。
クリトリスは外から見える部分だけではない
クリトリスは陰核とも呼ばれます。外から見える部分は亀頭と呼ばれ、その周囲には包皮があります。ただし、クリトリス全体が外に見えているわけではありません。
- 外から見える部分:亀頭
- 外陰部の前方にある部分です。見え方には違いがあり、表面だけで全体の構造は分かりません。
- 体内へ続く部分:体部・脚部
- 体部から左右に分かれる脚部などがあり、尿道や腟の近くに位置する立体的な構造です。
見えている部分の大きさから、感じ方や満足度を判断することはできません。構造を知ることと、特定の反応を目指すことも別です。
O’ConnellらのMRIによる解剖研究(PubMed)は、陰核の体部や左右の脚部などを示しています。健康な未経産・閉経前の少人数を対象にした研究で、すべての人の寸法や感じ方の標準値を示すものではありません。
見た目の違いと、気になる変化を分ける
外陰部の形、大きさ、色、左右差には幅があります。ほかの人の見た目や一つの模式的なイメージと一致することが、目標ではありません。見た目だけで性経験や感じ方を推測することもできません。
一方、普段と違う変化や不快感、痛みがあるときは、「個人差だろう」と外観だけで健康状態を決めず、医療者へ相談できます。部位名をうまく言えなくても、「場所の名前は分からないのですが、外側が以前と違って気になります」のように伝えられます。いつ頃から何が気になるかも、分かる範囲で添えてください。
自分の体を見たくない場合でも、相談を始められます。見た目への不安なのか、不快な症状なのかを言葉にして、どんな確認が必要かを医療者に尋ねる方法があります。
参考にした資料
- Sexual Health St Helens/Mersey and West Lancashire Teaching Hospitals NHS Trust:Adult – The Vulva
- O’Connell HE, DeLancey JOL/Journal of Urology(PubMed掲載):Clitoral anatomy in nulliparous, healthy, premenopausal volunteers using unenhanced magnetic resonance imaging
- Oxleas NHS Foundation Trust:Vulval and vaginal health
資料確認:2026年10月4日。会話や記入の例は編集部が作成したもので、実在の体験談や診断用の尺度ではありません。